東洋医学の普及

生命は口から入るものによって維持されています。薬事法では人が口にするものを医薬品と食品に分類しますが、「医食同源」という言葉が示すように、医薬物にも食物にもなるものや、過量摂取や偏食によって疾患の原因になる食物、逆に毒物でも摂取の仕方によって薬物になるものもあります。東洋医学はその長い歴史の中で、健康維持に有用な食材や病気の予防・治療に有用な薬材や方剤を見出し、その毒性を軽減し安全に活用する方法を模索してきました。現代の漢方薬は、このような過程の中で日本において選抜・規格化された優秀処方です。しかし、これらを効果的に活用するためには、その用法を熟知し、健康・疾病の状態を把握するだけでなく、周囲の環境や生活習慣、体質・体調にも配慮する必要があります。また、安全・安心な生薬の確保も重要な課題です。「第9回北里大学農医連携シンポジウム」(平成25年6月8日開催)では「天人合一」を基盤の1つとする東洋医学について、様々な視点から論じられました。

小林義典 北里大学農医連携教育研究センター員
(北里大学薬学部教授 生薬学教室)